ピアノの音色を美しく保つために欠かせないものが「調律」です。これは誰もができるものではなく、特別な技術を有した調律師が行うものです。新しいピアノは弦を引く力が非常に強く音が狂いやすくなるため、最初の3年間は半年ごと、その後は少なくとも1年に1回のペースで調律が必要になります。また、ピアノが置かれている環境によっても弦の状態が変わってくるので、住んでいる地域の気候や部屋の湿気の様子なども、調律のペースを決める上で考慮する必要があります。ピアノには、木材や天然の素材のフェルトなど、繊細な部品が非常に多く使われているために、温度や湿度の影響を強く受ける傾向があります。茨城県はというと、関東地方の北部に位置しており、比較的寒暖差の少ない、過ごしやすい気候にあると思われます。しかし、実際に茨城県における2013年の記録を見てみると、最高気温は31．3℃、最低気温は－2．5℃で、年間の寒暖差は33．8℃にも上ることが分かります。ピアノにとって温度の変化が一番の大敵なのですが、それは、温度によって弦が伸びたり縮んだりを繰り返し、それによって音が狂っていくからなのです。これほどの温度の変化があれば、やはり少なくとも1年に1回、できれば半年に1回が望ましいと思われます。次は茨城県の湿度の状況を見てみましょう。同じ2013年の記録を見ると、平均相対湿度は72％となっています。もしもこれだけ高い湿度の中で何のメンテナンスもされていない状況にあれば、ピアノの内部に結露が生じることでしょう。そうなると、押した鍵盤が上がらなくなったり、連打がしにくくなったりといった不具合が生じ、最悪の場合は修理が必要になってきます。修理となれば、余計料金はかさむことになります。以上の理由から、調律が適正に行われていないと、気付かない間に音が半音近く下がっていたり、上達にも支障が出る場合があります。状況が深刻であれば、修理が必要な事態になってしまう可能性もあります。ピアノは日々の努力によって上達していくものなので、せっかくの努力が実るためにも、ぜひ定期的な調律をおすすめいたします。