10年以上放置したピアノを調律する流れと費用の相場

10年以上放置したピアノを調律する流れと費用の相場

長期間放置したピアノを娘のレッスン用や学校での発表会のためなどさまざまなきっかけでまた演奏しようとしたとき、ピアノの音はかなりずれていることでしょう。そのためピアノ調律する必要があります。長年演奏していないピアノでもしっかりと調律することで、昔のような音色を取り戻すことができます。

今回はそんな長期放置したピアノでも調律すれば使えるのか、調律にかかる費用について、買い替えをご検討する前に考えることをご紹介します。

 

目次

長期間放置されていたピアノも調律すれば使えます

長期放置していたピアノでもしっかりと調律をすれば使うことができます。本章ではピアノの寿命や長期間ピアノを放置するとどうなるか解説します。

 

10年~30年ぶりのピアノ調律でも大丈夫

もし10~30年ピアノを長期間放置していたとしても、調律をすることで使用することはできます。ピアノは適切な整備・保管がされていれば半永久的に使用できる楽器といわれるほど、丈夫な楽器です。

一般的にピアノ本体の寿命は60年、内部の部品は35年と調律を仕事にしている方もいわれていますが、寿命ごとに部品交換などのメンテナンスをしっかりしていれば100年以上持つともいわれています。そのため長期間放置していたピアノでも調律をして、しっかりとメンテナンスをすればまた使えるようになります。

 

長期間ピアノを調律しないとどうなる?

長期間放置していたとしてもピアノ自体がダメになることはそうそうありません。しかし長期間ピアノを調律せず放置していると、音がどんどんずれていってしまいます。

まったく弾いていないから音がずれることはないと考える方もいるとは思いますが、どんなピアノでも調律後から少しずつ音がずれていきます。

ピアノ調律は1年に1回行うのが基本ですが、ホールや実技試験や学科試験の会場、レコーディングスタジオに置いてあるピアノは、調律後から音がずれることを考慮して演奏する度に調律しています。

 

ブランクのあるピアノは数年かけて直す

長期間弾かなかったピアノを1度の調律で直そうとするのは難しいとされています。

久しぶりの調律をした後に演奏をしていると、調律時には気が付かなかったおかしなところなどが見つかることがあります。そのことを考慮してゆるく調節しすぎると、長時間の演奏や部屋の気温差でゆるくなりすぎてしまい、結果おかしい部分が増えてしまう恐れがあります。そのため一度調律した後、毎日演奏することで出てくる故障をその都度直していく方針で、気長に調律していくことが良いといわれています。

もし長期間ピアノを弾かない場合は、保存状況に気をつけましょう。

また、ピアノは湿度に敏感な楽器ですので、湿気が多い場所での保管時は乾燥剤などで調整することが大切です。

 

長期間放置されたピアノの調律にかかる費用

長期間放置されたピアノの調律にかかる費用

長期間放置されていたピアノを調律する費用は、普通の調律よりも高くなるのかという質問はよくありますが、実際費用は高くなるようです。

では放置年数や正規の値段を知るためのポイントなどを見ていきましょう。

 

放置年数ごとに料金が定められている業者もある

毎日弾いているピアノの調律費は1万円を超えることがほとんどです。
では長期間弾かれていなかったピアノの調律費はどうなのでしょうか。

長期間放置されていたピアノの調律費は放置されていた年数で基本料金が決まります。そのため○年で○円という料金表示が一般的になっています。しかし長期間放置されていたピアノは部品交換なども発生するため、基本料金+交換した部品・作業費用になります。

 

細かい見積もりで正しい値段を知る

ピアノの調律・修理は、ピアノの状態によって料金が大きく前後してしまいます。そのため正確な費用を把握するために細かく見積りを出す必要があります。見積りを出すときの項目には以下のようなものがあります。

 

▶ 音程を調節するためのチューニングピンの状態

弦をとめているチューニングピンがゆるすぎると調律をしても弦がとまらないため、ピン・弦の交換をしなければ調律することができないといわれています。

 

▶ 弦の状態

長期間放置されていたためにゆるんでしまった弦が、ピアノ本体と接触しているために錆などの劣化を起こしている場合、調律時に弦が切れてしまうことがあります。

ピアノの弦は平均220本くらい張ってあるため、まとめて何本も切れることはほとんどありませんが、弦1本当たり80キログラムの力が掛かっているピアノは、長時間放置されていた状態から調律をせず急に弾きだすと、さまざまな部品が破損する恐れがあります。

 

▶ 鍵盤や弦を叩いているハンマーなどの部品の状態

ハンマーについているフェルトが劣化していたり、ピアノ内のアクションと呼ばれる部品が劣化していたりすると簡単に直せないことがあります。

ピアノは数千個の部品で作られているため、一度の調律・修理ですべてを直すことは不可能といわれているので、数回のメンテナンスで直していきます。

 

予算の範囲内で直すこともできる

ピアノの状態が悪く、調律・修理に多額に費用が掛かりそうなときは、予算の範囲内で直すこともできます。その場合、調律・修理するピアノにどこまで求めているかを調律する業者への依頼時に伝えることが重要です。

伝えることには以下のようなものがあります。

 

・音色

・タッチ

・耐久年数

・見た目

 

また、前述の通り1度の調律・修理で直すのではなく、徐々に直していくことも大切ですので、そのピアノに求めるものを優先順位が高い順に直していくことが良いとされています。

 

古くなったピアノの買い替えを検討する前に

古くなったピアノの買い替えを検討する前に

長期間放置していたピアノをまた弾こうと思ったときに考えることは、そのピアノをまた使うか、買い替えるかだと思います。

その場合どちらが良い選択になるのでしょうか。

 

修理?購入?中古ピアノやキーボード購入のメリット

長期間放置されていたピアノを修理する場合、中古のピアノやキーボードなどに買い替えた方が安く済むことがあります。中古ピアノへの買い替えでは、新品を買うのと比べると3割から5割安く手に入ることがあるメリットがあります。

また、世界的に認められている60年代から80年代の1級品国産ピアノに買い替えることができることもメリットといえます中古ピアノの買い替え時には以下のことを確認しておきましょう。

 

● ハンマーなどの状態確認

ハンマーなどの部品を確認せずに購入してしまい、状態が悪いとすぐに交換になり、費用がかさんでしまう可能性があります。そのため中古ピアノ内の部品確認は必須といえます。

 

● 製造番号の確認

ピアノ本体に記載されている製造番号と機種の確認をしましょう。製造番号から製造年をたどることができます。

 

● 音色の確認

自分の好みに合ったピアノか確認するためにも、鍵盤の指で押したときの感触や音色を確認しましょう。何種類かのピアノを弾くことで、初心者でも好き嫌いがわかってくるといわれています。

 

キーボードへの買い替えの場合は、3つのメリットがあります。

 

▶ ピアノよりも小さく、場所を取らない

・重量も軽いため置く場所を選ばない

・デザインもさまざまで、選ぶことができる

 

▶ 多機能で、いろいろ試すことができる

・多彩な音色を出すことができる機能や、曲を入れて弾くことができる機能もあるため楽しさがある

・消音機能やヘッドホンを使用した演奏ができるため、時間を選ばず演奏できる

・技術の向上でタッチや音質、表現力などがピアノに迫るものがある

 

▶ ピアノに比べ安価のため、初期投資が低い

・ピアノよりも本体価格が安価なため、先生を目指す人や子供が始める場合に買いやすい

・調律などが不要で、維持・管理が簡単に行える

 

キーボードや電子ピアノでは出せない音

買い替えをすることで、また手軽にピアノを弾くことができますが、長期間放置していたピアノを調律・修理して使うことのメリットもあります。まず長期間放置されていたということは、製造からそれだけの年月が経っていることとも言えます。

製造されてから長期間経つピアノは、経過しただけの味が音に出てくるといわれています。買い替えの際には、ブランクのあるピアノを使うことも検討してみてください。

 

まとめ

いかがでしたか?

長期間放置していたピアノでも調律・修理すればまた使うことができることをご紹介してきました。

長期間放置されていたピアノを調律・修理する場合のポイントは以下の通りです。

 

▶ 1度の調律では直すことができないので数回に分けて徐々に直す

▶ 放置年数で調律費用は変わる

▶ 正確な費用を知るためにも細かく見積りを出す

▶ 予算内で直す場合は優先順位をつける