ピアノ修理の定番!フェルト修理の工程
今回は、ピアノ修理で多いといわれているフェルト交換修理や、ピアノ調律師によるダンパーフェルト交換方法、そして必要な道具についてお伝えしますまた、ハンマーファイリングと呼ばれるものはなぜ必要なのか、その方法と注意点などについても触れたいと思います。
ダンパーフェルト?ハンマーファイリング?と聞きなれない言葉ばかりで不安になる方もいらっしゃるかと思いますが、分かりやすくご紹介しますので是非参考にしてみてください。
目次
ピアノのダンパーという部分は、ハンマーでたたいて音を出した後の弦を受け止める役割をする所です。ダンパーフェルトは直接弦に触れる部分なので、長年使用しているとフェルトが硬化してきて弦があたるたびに独特な音がするようになったりします。
また、ピアノを長期間放置しているとフェルトが虫食いの影響でボロボロになり、鍵盤が重く感じたり音質までもが変わったと感じたりすることもあります。そのため、音質に違和感を持ったりタッチする鍵盤が重く感じたりした場合はフェルトの部品交換が必要なのです。
・スケール(定規) …… ダンパーフェルトを測るため使用する
・薄刃(うすば) …… 古いフェルトを剥がすために使用する
・交換用ダンパーフェル戸 …… 交換する新しいフェルトのこと
・専用接着剤 …… フェルトを張る際に使用する
・ダンパーフェルトナイフ …… 柔らかくて切りにくいフェルト素材をキレイに裁断するときに使用する
・ダンパーフェルト裁断ジグ … フェルトをはめ込んで企画サイズにあったフェルトを裁断するのに必要
① ダンパーをピアノから外して、スケール(定規)をダンパーフェルトの大きさを使用して測定します。
② 古くなったダンパーフェルトを薄刃で取り除きます。この時に、フェルトが付いていた部分を傷つけないように気を付けましょう。
③ 新しいダンパーフェルトをダンパーフェルト裁断ジグという器具にはめ込みます。この器具を使用することで、簡単にフェルトをぴったりサイズに裁断できます。
④ フェルトを、ダンパーフェルトナイフを使って初めに測った大きさにカットします。ダンパーフェルトナイフは切れ味が鋭く、柔らかいフェルトも動かすことなくスパッと綺麗に切ることができます。
⑤ 最後に専用接着剤を使って接着させ、ダンパーをピアノに戻す。
ハンマーファイリングとは、弦をたたくハンマーの部分のフェルトを削りだすことで新しい面を出して整調することです。
ハンマーフェルトは長年弾かれることで凹みが発生し音色が安定しなくなってきたりします。音のバランスが悪くなることもあるので、音質を良くしたい方はぜひすべき修理方法です。
ただ、あまりにも削りすぎると厚みが無くなり、音量が弱くなってしまいます。そのような状態になった場合は新品のハンマーに交換する必要があると言えます。
長年弾いていると、ハンマーの弦があたるところに凹み(弦溝)ができます。
その凹み(弦溝)が深くなるとハンマーのブレ・雑音が発生する恐れがあり、音質や音のバランスが悪くなってしまいます。そのためハンマーフェルトを削ることによって、新しい表面を作り出す必要があるのです。
【必要な道具】
紙やすり(弦溝の深さに合わせて、やすりの目の粗さを変える)
【使用方法】
① やすりをハンマーの幅に合うようにカットします。
② 目が粗いやすりで深めの弦溝を取り除きます。(1番高い位置に打弦点がくるようにします。)
フェルトは羊毛でできており、削るとふわふわしたかすが出るため、マスクをして作業します。フェルトのバランスをなるべく均等にし、ズレがないように気を付けます。
③ 目が細かいやすりで形を調整します。色は真っ白になり、触った感触もよくなります。
④ 最後にコテを当てて、ケバケバしたところを取り除きます。この作業を全部のハンマー88鍵分行います。
・削りカスを吸い込まないように、マスクをつける
・ハンマーが打弦点と位置がずれたりすると音量が弱くなったり、アクションに影響があるため確認する
・フェルトの上下のふくらみをバランスよく調整する
・高音はフェルトが薄いため、削り過ぎない
・初めにどれくらいファイリングをするか決めておく
ピアノのフェルトは大きく分けると、2箇所に使われています。それは、弦を受け止めるダンパー部分と弦をたたくハンマー部分です。それぞれ羊の毛を加工した繊維を使用していますが、硬さを変えて使用しています。
ダンパー部分のフェルトは柔らかく弾力性がある一方で、ハンマーには圧縮したような硬いフェルトが使用されており、その消耗の仕方などによってピアノの音色や音質、音のバランスや弾きやすさが変わってきてしまいます。
ダンパーとは、ピアノの弦を受け止める部分です。ダンパーの先端についているフェルトをダンパーフェルトといい、ダンパーフェルトが弦をおさえて弦振動の音を止めます。
ダンパーフェルトが固くなると、音を止めるときに雑音が出ることがあります。また、長年ピアノを弾かずに放置しておくと、虫やネズミなど害獣に食われてしまい、タッチの際に鍵盤が重く感じたり音質までも変わってしまう場合もあります。このように、ダンパーフェルトの役割はとても重要であり、しっかり確認しておくことが良い音質に繋がります。
ハンマーとは、ピアノの弦をたたくものです。ハンマーのヘッドについているフェルトのことをハンマーフェルトといい、上質のフェルトが圧縮してつけられています。長年弾いているとフェルトが凹んだり、強力な張力の弦をたたくことにより摩耗してすれてきます。
そのため、音のバランスに違和感を覚えたり、音質が悪くなったり弾きにくくなる場合があります。このように、ハンマーフェルトの役割はとても大切なため、変だなと感じたらすぐ確認することがよい演奏に繋がります。
もう一つ大切なフェルトが弱音フェルトというものです。アップライトピアノにしか付いていませんが、そのフェルトの交換もピアノを弾く際にとても大切な役目を持っています。特にご家庭にあるアップライトピアノですので、傷んだりするとどんな不具合が生じてしまうのか詳しくご紹介しましょう。
そして、長年使用してきたピアノを新品のように蘇えらせるオーバーホールという方法があります。その内容は、ピアノの外部の塗装や鍵盤の交換以外にもピアノ内部の掃除や部品交換まで行うものです。詳しくご紹介していきましょう。
アップライトピアノには弱音(マフラー)ペダルがついており、3本あるペダルの内、真ん中を指します。踏んだあとに左にずらすことで固定でき、踏んだ状態に保つことができます。
このペダルを踏むと、夜中に練習してもうるさくないようにハンマーと弦の間にフェルトがかかった状態になります。
長年使用しているとフェルトが切れたり摩擦で無くなってしまったりする場合があり、弱音にならないということになってしまいます。中には、ネズミに齧られる場合もあるため注意が必要です。切れたフェルトが内部に残っているとピアノの音やタッチに影響が生じるおそれもあります。近所迷惑を考えてよく使用している方はおかしいなと思ったら業者に見てもらいましょう。
● フレーム再塗装と磨き
ピアノのフレームは、太陽の光などで焼けたり傷が付いたりサビたりしてきます。そのフレームを再度塗装して磨くことでくもりも無くなり、新品のように復活します。
● 響板再塗装
響板とは、ハンマーが弦を叩いて音を大きくし音響効果を高めるため、ピアノの弦の下に張ってある板のことです。この板が大きいほど大きい音が出ます。グランドピアノはフレームの下、アップライトピアノでは背部に張ってあります。
長期間の使用でのヒビ割れや、茶色い変色、ホコリなどのゴミで劣化が見られる響板の塗装を剥離し、修復作業を施した後に塗料で数回に分けて丁寧に再塗装することです。
● ピンブッシュ交換
チューニングピンは、調律回数などにより徐々にピンが緩くなっていくので、適切なサイズのピンに交換して調節します。また、年々サビが気になるようになるので、交換することで輝きを取り戻します。
● 巻線交換
もっともホコリが溜まりやすい場所です。ホコリが溜まるとカビが発生することもあり、雑音が出やすくなるため、長年使用している場合は交換がおすすめです。
● 弦の張替え
長年使用していると弦がゆるんできたりしてきます。正確かつ美しく、ねじれのないように決められた巻き数で張ります。
● アクション(ピアノ内部)の掃除とバットコードの交換
ピアノの内部をなかなか見る機会はないかと思いますが、長年のホコリや汚れがアクションの木部についているため取り除きます。シミなども一緒にサンドペーパーをかけて取り除きます。バットコードは、長年使用していると切れる可能性があり、切れるとハンマーの戻りが悪くなります。そして、タッチもしにくくなるので、新しいものに交換します。
● 鍵盤のアクリル交換と鍵盤掃除
ピアノを弾く際に一番触れる場所です。年々ピアノを使用していると、手垢などが原因で黄ばんでしまいます。
交換すると真っ白の鍵盤になりタッチの感触が変わるでしょう。そして、鍵盤の木部にもホコリが溜まるため掃除することで鍵盤が軽くなります。
いかがでしたでしょうか?今回はダンパーフェルトとハンマーフェルトの役割と交換方法など以下のことについてご紹介しました。
● フェルトの役割の重要性
● フェルトの劣化などからくるピアノの音色や音質の変化
また、弱音(マフラー)フェルトやピアノのオーバーホールについてもわかっていただけたと思います。
● ピアノの音に違和感を覚えた場合はすぐ業者に依頼する
● ピアノのフェルトはとても重要な個所なのでプロの業者に頼るべき
● ピアノ内部のホコリは不具合の原因になる
これらのことを意識して、ピアノを快適に使用しましょう。
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