ピアノ調律を自分でやる方法とメリットを解説!自分で調律するのは難しい?
ピアノの音の調律は自力でおこなうことが可能なのはご存じですか?自分で調節することにより、費用の節約だけではなく、自分の好みの音に合わせることができ、時間の節約にもつながります。
しかし、知識がないままに作業をおこなってしまうと、他のピアノキーにまで影響を与えてしまう場合もあり、最悪の場合状態が悪化してしまう場合がります。もし調律をおこなうのであれば事前にピアノ調律に関しての知識を深めて、道具をそろえてから調律を開始しましょう。
今回は、ピアノの調律に必要な道具や、正しい調律の仕方についてご紹介します。
目次
ピアノの調律をする際、どのような道具が必要なのでしょうか。主に必要な道具が2点あります。
・チューナー
チューナーはピアノのピッチを調整調するうえで必要不可欠です。自身の耳だけではなく機械を使用することでより正確な美しい音に近づけることができます。チューナーを使用すると、人の耳では判断しにくい高低音でも一目で判断できるのが魅力的です。
・チューニングハンマー
チューニングハンマーはチューナーで音が違った際、調音するときに必要になります。音の調整をする際、調律方法はドイツ式と日本式の2種類があります。それぞれチューニングハンマーの持ち手の部分の長さが変わってきますが、基本的に長いものであるドイツ式を選ぶと扱いやすいです。
電子チューナーは専用機器だけではなく、スマートフォンのアプリのものまで幅広く存在します。チューニングする際は、どのようなものを選ぶと良いのでしょうか?
電子チューナーは様々なタイプのものが販売されています。また価格帯も安価なものから高価なものまで存在します。ピアノの調律は、他の楽器と比較してかなり難しい部類です。一般的に広まっている汎用タイプのチューナーを使用するよりも、弦楽器用、できればピアノ専用のチューナーを使用したいところです。
他の楽器にも使用できるチューナーでも調律はおこなえる場合がありますが、どうしても専用チューナーには劣ります。美しい繊細な音色を響かせるためには、専用のものを用意する必要があります。
また、昨今ではスマートフォンのアプリでも代用できます。個人での調律をおこなう際に手元にチューナー機器がない場合は、手軽に扱えるアプリを使ってみるというのも1つの手段でしょう。
無料のチューニングアプリもありますが、より本格的な調律をおこないたい場合は高価ですが、有料のチューニングアプリも存在します。ピアノの音色は「ウナリ」があるかないかで大きく違うものになってしまうため、「ウナリ」が明確に判断できるアプリを選ぶ必要があります。
ではチューニングハンマーを選ぶ際の基準はどこに着目すればよいのでしょうか?
チューニングハンマーの価格は安価なものから高価なものまで幅広く存在します。個人でおもちのピアノが安価な場合であれば、調律時に問題が発生してもそこまで被害が大きくなりませんが、最高級なピアノを調律する際は気軽に調律することはもってのほかです。
もし、安易に調律して修復不可能になってしまった場合は、調律費用を抑えるばかりか、ピアノ自体が良い音を奏でなくなってしまうでしょう。もし、高価なピアノの調律を個人でおこなう場合は相応のチューニングハンマーを用意することが大切になります。
チューニングハンマーの種類は、ドイツ式の長いものと日本式の短いものの2種類あります。基本的には長いものであるドイツ式のチューニングハンマーを選ぶと良いでしょう。
チューニングハンマーが長いものを使用すると、てこの原理で力をあまり必要としないうえに、調律をする際に短いものに比べてより繊細な調整をおこないやすくなります。力をあまり必要としないため、女性でも扱いやすいのもメリットになります。
個人でピアノの調律をおこなう際はまず、調律方法を決め、それに沿った適切な方法を取ることが大切です。今回は、現在で最も一般的な調律方法をご紹介します。
現在ではピアノの調律方法は2種類あるとされています。
・古典調律
古典調律とは、音楽の歴史でいう古典派時代のモーツァルトやベートーヴェンなどの音楽家が活躍した1730年代から1810年代に行われた調律方法です。何よりも純正な音を目指して考えられた調律です。当時に作曲された曲を弾く際はとても美しい音色を奏でることができます。反対に現代の曲を演奏する際には不向きになりやすい傾向にあります。
昔は機械による調律が存在しなかったので、基本的には調律者の技術や耳などに手腕がかかっています。
古典調律には、様々な方法があります。どの方法をおこなっても12音もの音を円形に配置した場合、1オクターブ上の音がきれいに重ならない場合があります。そのため数オクターブ上の音とずれが生じていき、違和感を感じる人もいるでしょう。
・現代調律(平均律)
現代の調律方法は一般的にこちらが多いです。現代調律は別名平均律ともいわれ、オクターブの音階を均等に12つの音に割り振り、それに合わせて調律をおこないます。音楽を数値化したときに、とてもきれいな音の分かれ方をします。音をわかりやすく円状に描いた場合、1オクターブ上の音ときれいに重ねることができるのが特徴になります。
また、調律者の技術や音感などがそこまで高度である必要がなく、比較的おこないやすい調律方法です。
現代調律は、移調や転が曲内で発生しても対応しやすく、かつ、調律が比較的簡単であるため好まれる傾向にあります。個人で調律する際は、比較的技術力が必要にならない現代調律をするのが失敗しにくいためお勧めです。
まず調律前にしておくべきことがあります。
● ピアノ本体やその周辺にあるものやカバーを取り除き、ホコリも掃除して取り除く
ピアノは繊細な楽器です。不注意によってものがピアノ本体の内部などに入り込むと、最悪の場合故障につながります。調律作業に入る前に不要物は周りから取り除いておく必要があります。また、ホコリも取っておきましょう。
● 屋根前を取り外すし、正面にある上前板を取り外す
ホコリも不要物もなくなってから、ピアノの屋根前(ピアノの一番上のふた)を取り外します。ものによっては固定されているものや全部取り外しがおこなえるものなどがあります。
屋根前を取り外すと、正面にある板が取り外せるようになります。屋根前取り外した後に内部を除くと上前板を固定しているものがあるので、外しましょう。屋根前も上前板もかなりの重量があります。取り外す際は慎重におこないましょう。
ピアノを調律する際は、主に2つのことが大切になります。
・音を合わせること
・音を保たせること
音を合わせること自体はチューナーを使用することで比較的楽におこなえます。使用するチューナーにそって音を調節することで、正確な音により近づけることができます。しかし、音を保たせることは難しいです。機械ではなく、調律をおこなう人の手腕にかかっています。
調律する際は弾いて音を試しつつ、強く鍵盤をたたいたときでも調律が変わらないようにしなければ、せっかく正確な音に合わせても曲を弾いているうちにずれてしまうのです。また、音を調律する際は3本のうち真ん中の弦を中心に整調するようにしましょう。
便利な電子チューナーですが、電子チューナーを使用して調律をした場合は、インハーモニティという現象が発生する可能性があります。
インハーモニティとは、弦楽器特有の現象で1オクターブ以上音域の調律をした際に周波数の唸りがとまらなくなってしまうことをいいます。ピアノのミュージックワイヤーは非常に剛性が高く硬いためインハーモニティが起こるといわれています。耳で調律する際は唸りを無くすように調律をするので怒りにくい現象ですが、一般的な電子チューナーを使用した場合は発生しやすいといわれています。
また、ピアノ専用ではない電子チューナーはオクターブ時の調律が難しい傾向にあります。基本的にチューナーの指し示す理想値に合わせても、実際に弾いてみると違和感や音のかみ合わせが悪くなってしまうことがあるのです。ピアノ用の電子チューナーであれば、この調律曲線上の唸りやインハーモニティに対応できるうえ、アプリや機器によってはピアノの癖なども記憶する機能があるようです。
ピアノ調律を専門におこなっている業者は、調律だけではなく以下のような点検をしてくれる場合があります。
・ねじのゆるみの確認
・湿気や湿度などによる弦のサビ
・虫食い被害や汚れの調査
大切なピアノですから長年扱っていきたいところです。ピアノの調律をおこなうプロは、ピアノの調律をする際に修復すべき点を見て、適切な対応をおこなってくれるでしょう。
自分で調律する前に、メリットとデメリットをよく把握しておきましょう。また、調律師に頼む際の判断基準はどのあたりなのでしょうか。
ピアノを自分で調律するメリットは、自分の都合のいいタイミングで、自分の好きな音に無料で調律をおこなえるという点が挙げられます。また、自分の耳で音を拾った際に、極端に違和感のある音のみを調律をおこなえるため、手間をあまりかけることなく調律をおこなえます。1つの音だけを直すために調律師を呼んでいると時間も手間もかかるため料金が割ましになってしまう場合があります。
自身で調律する過程でピアノの原理について詳しく知ることができます。ただ弾くだけでなく、ピアノへの知識を深く知ることによって、愛着がわき、ピアノのコンディションがどうなのか把握しやすくなります。そのためピアノを弾く際の和音や、音の美しさをより深く味わうことにつながります。
人間の耳の構造はとても複雑で、よっぽど音感に自身がある人でないと正確に調律することは難しいです。
耳はときに高い音を低く感じてしまったり、その反対に低い音を高く感じてしまうことがあります。手のひらの感覚で稀にある高温と低音を正反対に感じてしまうことと似ていますね。
また、自身で調律する際は、調律師と比べて知識が少ないことが多く、どうしても調律に時間がかかってしまいます。そのため忙しい方だと調律をおこなう時間を確保することが難しいでしょう。
集中を必要とする作業ですから、半日以上時間を取ってしまうこともあります。調律師に依頼をすれば時間がかからず、正確に調律をしてもらえる場合があるので、ご自身の状況を踏まえてから判断をしましょう。
また、ピアノの調律は2通りの意味があります。
・音程のチューニング
・アクションメカニズム調整
あくまで個人でおこなえるのは音程のチューニングまでです。内部構造であるタッチの深さやフェルトの固さの調整など、高い知識と経験、技術力を要するものは自力での調整が難しいため、調律のプロにお任せするのが良いでしょう。
・適切な調律をしたいとき(調律後に音を狂わせたくないとき)
・修理も同時におこないたいとき
・中央の弦が狂ったとき
大事な発表や舞台がある場合、音の正確さはとても重要になります。せっかくの晴れ舞台であるのにかかわらず、調律が狂ってしまっては困ってしまうでしょう。
また、ピアノのタッチの不揃いさなどの調整をあわせておこないたいときや、複数の調律を行って欲しいときなどにもプロに依頼をおこなうと、個人でおこなうよりも正確かつ整ったタッチによみがえらせてくれるでしょう。
ピアノ調律を自分でおこなうに当たって、以下の3点が大切です。
● ピアノの調律をおこなう際は、電子チューナーを使用すると良い
● チューニングハンマーはドイツ式の持ち手の部分が長いものを選ぶと作業がしやすい
● 複数の音の調律をおこなう際は、個人ではおこなわず、ピアノ調律のプロに相談すること
もし、誤った方法でチューニングをしてしまうとかえって修復するのに時間も費用もかかってしまう場合があります。個人で調律する際はしっかりと知識を取り入れたうえで、適切な対処をおこなうようにしましょう。
ピアノ調律の経験が豊富である調律のプロにお任せするのも一つの手段かもしれません。
※手数料がかかる場合がございます
※一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます