ピアノを弾く方の「一日でも長くピアノの音を美しく保ちたい」という願いを叶えるために欠かせないものである調律。調律を行なわなければならない頻度は、ピアノが設置されている部屋の環境や使われている年数などによってまちまちですが、美しい音楽を奏でるために最高のコンディションを維持するのであれば、最低でも一年に一度、可能であれば半年に一度ほどが理想であると言われています。
ピアノには、木材や羊毛素材のフェルトなど、天然のものから作られた精密な部品が数多く使われているため、湿度や温度などに非常に敏感で、それらの天候の条件にその状態が大きく左右されます。北海道というと、「夏は涼しく冬は寒い」といった気候であることから、気温のうえでの寒暖差はあまり無いように思われるかもしれませんが、例えば2013年を例に挙げますと年間の寒暖差は35.1℃もあり、全国でも6位に数えられるほど。これだけの気温差が出てしまうと、ピアノのピッチに多大なダメージを与えることになってしまい、最悪の場合、大がかりな修理が必要となってしまいます。
そして、同じくピアノに大きな影響をおよぼしてしまう湿度の面から見てみても、2013年の平均相対湿度は71%もあり、梅雨が無く夏でも快適に過ごせるとされる北海道ですが、他の県とさほど大差があるわけではありません。湿度に関しての対策を怠ってしまうと、ピアノの内部で結露が起こってしまう可能性があります。北海道では冬の気温が氷点下になるため、部屋のなかを暖房機器で暖め、また建物自体も熱を外に逃がさない構造になっていることが多い状態にあります。そのため、外気との気温差にかなりの開きが出てしまい、ピアノが置かれている部屋の中の湿度は高いものになってしまいます。この湿度が、ピアノの内部に結露を起こしてしまう原因となるのです。
ピアノ内部の結露をそのまま放置しておくと、「連打ができない」「鍵盤が上がらなくなった」といった故障が発生してしまいます。そしてピアノの錆びの原因にもなり、極端な場合には弦が切れてしまい、そうなると、修理に余分な料金がかかってしまいます。このような湿度による悪影響を避けるためには、「ピアノ専用の乾燥材」や「除湿機」の利用が有効であるといえますが、致命的な故障を防ぐためには、やはり定期的なメンテナンスを欠かすことは出来ません。人間と同様、愛用しているピアノを長持ちさせるためには、常にその健康状態を把握しておくことが大切なのです。「かかりつけ医」となってくれるような長いお付き合いが出来る調律師の方を探しておかれるのも良いかもしれません。
※修理のお問合わせの場合、5年以上使用している電子ピアノは対応不可。