コラム
鍵盤をたたけば音が鳴る。直観的にわかる作りで、音楽を勉強する上でも鍵盤の並びから考えることがあるほど「音楽の基礎」となっているピアノ。しかし、最初のピアノが登場したのは意外にも18世紀と比較的新しい楽器だということをご存知でしたでしょうか。
ピアノの仕組みは当たり前のように見えて複雑です。多くの部品が歯車のように重なり合って、ひとつの楽器になっています。そのため、ピアノは維持管理が大切で、定期的にピアノのプロフェッショナルに調律をしてもらう必要があるのです。
この記事ではまず、ピアノの構造に迫ります。大きく分けてふたつのタイプがあるピアノの構造と違いは何なのでしょうか。また調律とはどのような作業なのか、どの程度の頻度で受けた方が良いのかなどを解説していきます。
目次
ピアノは「鍵盤楽器」に分類されます。オルガンやシンセサイザーと同じように、鍵盤を押さえることで音を出す楽器が鍵盤楽器です。しかし、その構造をくわしく見てみると、打楽器の構造と弦楽器の特徴を兼ね備えた楽器だということがわかってくるのです。
複雑な構造を持つピアノは「弦」と「鍵盤・ハンマーアクション」それに「ペダル」という、大きく分けて3つの要素から成り立っています。ここではそれぞれの役割を見ていきましょう。
ピアノの本体には、美しい音色を生み出すための弦が収納されています。この弦が、ピアノが弦楽器だといえる理由です。それでは1台のピアノには、何本の弦が使われているのでしょうか?現代の一般的なピアノは88音の音色を奏でることができ、その一音一音に2本から3本の弦が使われています。一般的なピアノには、200本以上の弦が使われていることになります。
弦はピアノの音の要となる繊細で重要な部分です。しかし、ピアノの弦には1本あたり70~80kgの張力(弦が引っ張る力)がかかっており、ピアノ全体にかかる張力は合計で20トンにも及びます。張力は時間と共に弦をゆるませ、音を狂わせてしまうため、音を合わせる調律という作業を定期的に行うことはとても重要です。
ピアノは鍵盤を押すとその動力が伝わってハンマーを動かし、弦を叩くことでひとつの音が出ます。ひとつひとつの鍵盤から弦までの間には80種類ほどの部品が使われており、それらが組み合わさって生まれる音を出すための動きをハンマーアクションと呼びます。鍵盤からハンマーまでは木製の部品が多く使われているため、湿度の変化に注意が必要な部分です。
椅子に座ってピアノの鍵盤に向かい合ったときに足元にくるのがピアノのペダルです。このペダルを踏むことで音の伸び(サステイン)を調節することができます。曲の豊かな表現をピアノで再現する上で大切な機構です。
ピアノから音が鳴る仕組みにはふたつの段階に分けて説明できます。第1段階は「ハンマーアクション」第2段階は「音の増幅」です。このふたつの段階を経て私たちの耳に音が届きます。
第1段階のハンマーアクションでは、前章で説明したように鍵盤を押さえた動力がハンマーまで伝わります。ハンマーが弦を打つことで、任意の音程の弦に振動が生まれ、それが音になるのです。しかしこのままではあまり大きな音が得られません。
そこで必要になるのが、音の増幅です。弦の下にあり、音を響かせる響板という部分に、弦を固定している駒という部分から振動が伝わります。駒から振動が響板に伝わり、響板全体が揺れることによって、音が出るのです。このようにハンマーで叩かれた弦の振動をピアノの響板が増幅させ、外に伝えるというのがピアノから音が出る仕組みです。
ピアノには大きく分けてふたつのタイプがあります。ひとつめが大型の「グランドピアノ」と呼ばれるタイプのもので、もうひとつが小型の「アップライトピアノ」と呼ばれるものです。いずれも弦を使ったアコースティックピアノですが、弦が地面と平行に収納されているのがグランドピアノ、垂直に収納されているのがアップライトピアノです。
2つのピアノで大きく違う点は、音が出る場所です。グランドピアノは音を増幅させる響板が地面と平行に付いており、上下に音を出します。また天板を開けることでさらに大きな音を出すことも可能です。一方アップライトピアノは鍵盤側を正面とすれば、天板は背面側にあります。音は背面方向に向かって出ていきます。このため壁に付けて設置している場合は音の抜けが悪くなるのが欠点です。
また、ふたつのピアノはハンマーアクションの構造が大きく違います。構造の違いによって、性能にも差が生まれます。グランドピアノは同じ鍵盤を1秒間に14回の打鍵が可能で、アップライトピアノは7回の打鍵が可能です。打鍵できる回数に倍の差があるのは大きな違いですね。
この違いは、ハンマーアクションの動く向きの違いによって生じます。グランドピアノのハンマーは地面に対して垂直に動くため、自重で落下することができます。アップライトピアノはハンマーが水平方向に動くため、元の位置に戻るためにはバネのような跳ね返す力が必要です。複雑な構造をしておりその分動きが遅くなるのです。
構造の違いによって、再現できる演奏技術に差が生じます。コンテストや演奏会ではグランドピアノが、練習用にはアップライトピアノが使われています。構造の違いを知っていることは、ピアノ選びの際にも重要な要素です。
大きなホールなどでの演奏にも使われるグランドピアノと、室内での練習向けが多いアップライトピアノ。使われる目的が違うふたつのピアノには、用途に合った違う機能を持つペダルが備わっています。
・グランドピアノグランドピアノでは、ペダルが3本あるときは右から順にダンパーペダル、ソステヌートペダル、シフトペダルと呼ばれるペダルが付いています。ペダルが2本の場合は真ん中のソステヌートペダルが省略されている形です。
ダンパーペダルを踏むと、弦の振動を止める「ダンパー」と呼ばれる部品が弦に触れない位置で固定され、音を伸ばすことができます。ソステヌートペダルは、踏むと弾いた鍵盤に対応したダンパーだけが固定され、伸ばしたい音だけを伸ばすことができるペダルです。シフトペダルは、音を弱める際に使用します。
・アップライトピアノアップライトピアノには、右から順にダンパーペダル、マフラーペダル、ソフトペダルが付いています。ダンパーペダルはグランドピアノと同じ効果で、マフラーペダルは音量を小さくすることができるペダルです。このペダルは踏んだ状態でロックでき、室内で練習する際にこれを使うと近所迷惑になりません。
ソフトペダルはグランドピアノのシフトペダルと同じように音を弱めるペダルです。名前は違いますが、「音を弱める」という効果は同じです。構造上の差があるため別の名前が付いています。
ピアノは精密機器で、長く使っていくためには、人の手による定期的な点検が必要です。狂った音を直す調律は、長い間していないとピアノが壊れてしまうこともあります。大切なピアノですから、整備点検のプロである調律師に見てもらいましょう。
調律師の手による調律は1年に1回のペースで受けましょう。ピアノにとって調律は健康診断のようなものです。定期的に確認してもらうことによって、音を合わせるだけでなく部品の劣化や摩耗もチェックしてもらえます。
ただし、新品のピアノの場合は最初の2年間くらいは弦が安定ません。そのため、年に2回程度調律してもらう必要があります。
調律はピアノ全体の整備点検作業です。調律作業には音を合わせる作業の他、アクションの動作やキー深さ・高さなどを整える「整調」や音の雰囲気を揃える「整音」も含まれます。ピアノのタイプによって工程が大きく違うのでそれぞれ紹介しましょう。
・グランドピアノグランドピアノは大型なので、調律の作業も大掛かりになります。作業の前にピアノ内部の清掃をします。ほこりが溜まったりすると音の響き方に影響がおよんでしまうので、掃除も重要な作業のひとつです。
清掃のあとは鍵盤とハンマーアクションの機構部分を取り外して整備し、整調に入ります。ハンマーの動き方や鍵盤を調整したら、調律で音を合わせます。そのあとはハンマーのフェルト部分の硬さを調整するなどして、音のばらつきをならせば完成です。
・アップライトピアノアップライトピアノの調律も、基本的にグランドピアノと同じ手順で行われます。アップライトピアノの場合は正面と上面の板を外すことで、ハンマーの機構や弦など全体を整備することができます。清掃から始まり、整調、調律、整音の手順は同じ流れです。
調律は業者にお任せしましょう。調律は専門的な作業なので、楽器のことを知り尽くした業者に依頼する必要があるのです。アップライトピアノでも、グランドピアノでも対応できるので、ピアノのタイプを問わず相談してみてください。
とはいえ、ピアノは高価な楽器で、家宝や家の財産として代々引き継いでいくことができる大切なもの。そんな大切なピアノは、信頼できる業者に管理してもらう必要があります。ピアノの調律や修理をする業者を選ぶ際に大切なポイントをいくつか挙げると、以下のようになります。
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ピアノは複雑な構造で成り立っている鍵盤楽器です。打楽器と弦楽器の特徴を組み合わせるために鍵盤とハンマーアクションを駆使しています。弦や鍵盤などの部品はどれも電気を使わずに木製の仕掛けで動くため、精巧な作りが求められる楽器です。
職人の技で作られたピアノを大切に守っていくために重要なのが調律という作業です。調律は定期的に行う必要があり、長い間手つかずで放っておいては故障の原因にもなりかねません。調律は定期的に業者に頼んで常に万全の状態にピアノを保っておきましょう。
また、業者を選ぶ際には、その業者の実績や無料相談の有無などがポイントとなります。ピアノという楽器に親身に向き合い、誠実に対応してくれる業者を選びましょう。
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