コラム
カラオケでうまく音程がとれない、好きな曲の音が分からない。このようにお悩みの方はいらっしゃいませんか?このとき、もし自分に音感があれば…、と感じたことがあるのではないでしょうか。
今からでも遅くありません。音感は鍛えることができるのです。今回は音感を鍛えるやり方についてご紹介します。
目次
実は音感には「相対音感」と「絶対音感」と呼ばれる2種類あることをご存知でしょうか。この二つの音感には違った特徴があります。音感を鍛えるために、まずはそれぞれの特徴を知りましょう。
相対音感とは直前に聞いた音に対して、次の音に比べて高いか低いかが分かる能力を指します。ピアノで低い「ド」を鳴らし、次に高い「ソ」を鳴らして、どちらの方が低いかを言い当てることができれば相対音感を持っていることになります。
相対音感は精度に差はありますが、人間が基本的に持っている能力です。一般的に音感の良い悪いは相対音感のことを指します。相対音感を鍛えると音が単に高いか低いかだけではなく、具体的にどのくらい高いか低いかが分かるようになるのです。更には耳から聞いた音や思い描いた音をそのまま楽譜に書き出すことも出来るようになります。
絶対音感とは、聞こえてきた音を自然に「ドレミ」に変換することができる能力を指します。頭の中にピアノがあり、聞こえる音がピアノに変換されていると考えると良いでしょう。幼いころから訓練していないとこの能力をもつことは難しいとされています。絶対音感があれば耳からきいた曲も正しい音調に変換することができます。
音感を鍛えるために自分でチェックしたいと感じる方も多いと思います。ネットで検索をすると、音感チェックのための動画やサイトがたくさん出てきます。また、スマートフォンアプリにも音感を鍛えるためのものがあります。調べて自分に合ったやり方を探しましょう。
自分には音感がない、どうせ音感を鍛えても意味がないと考えている方でも大丈夫です。音感はトレーニングすれば今からでも手に入れることができます。音感をトレーニングするには楽器を使用しましょう。楽器にはピアノを使うことをおすすめします。
まずは「ドレミファソラシド」がちゃんと歌えているのかを確認してみましょう。ピアノで音を鳴らしながら歌います。一オクターブ上の「ド」まで行ったらもう一度最初の「ド」ヲ弾いて確認します。このときに音が外れてしまっていたのならトレーニングが必要です。毎日2,3回ずつ同じことを続けてみましょう。
慣れてきたら次の段階に移ります。ピアノで同じ音域の音を2つ同時に鳴らします。この2つの音が何かを意識しながら聴きましょう。音のうねりを意識しながら聴くとよいです。音の塊の中に違う音があることを感じられるようになったら次の段階に行きましょう。
音が分かるようになったら、なっている音を聴きながら音を下から上の順に歌ってみましょう。歌い終わったらピアノでもう一度鳴らして確認してみましょう。上手くできるようになったら上から下へも歌ってみましょう。1日15分ずつ続ければ効果が出てきます。
2つの音に慣れたら、次は音を増やしましょう。トライアドと呼ばれる3和音でトレーニングをおこないます。3和音と単音の組み合わせを6パターン作ります。先ほどと同じようにまずは音を聴きましょう。鳴らしても3つの音が分解できないならばまずは1つだけ音を鳴らし、その後に和音を鳴らしてみましょう。和音の中に単音が入っていないかを意識して聞いてみましょう。歌う練習も同時に行うとよいです。
3和音を歌う時は下から上の順番に歌うのが良いでしょう。6パターンをばらばらにしても歌えるようにならば別のコードで練習をしていきましょう。続けていけば相対音感を鍛えることができます。
絶対音感を習得するためには幼いころからの訓練が必要であると先程ご紹介しました。ですが、大人になってからも取得する方法があるのです。まずは音階を理解しましょう。五線譜が読めないという方はこの段階から始めましょう。「ドレミファソラシド」の順番とどんな音が奏でられているのかを理解することがはじめの一歩です。
音階を理解できたら、次は自分の好きな曲や音楽のイントロを覚えましょう。好きな曲や音楽であれば自然とイントロのリズムや音を覚えることができているはずです。このときイントロの始まりの音をよく聴いて確かめてください。イントロの出だしの音が分かれば違う音程で曲を歌うことができるようになるでしょう。
次はピアノを使ってトレーニングをします。友達や家族と一緒に音あてクイズをします。クイズのやり方は、まず2つの違う音をばらばらに弾いてもらい、最初の音だけを教えてもらいます。そして次に弾いていた音が何かを自分が考えて答えます。このクイズを続けることで絶対音感を鍛えることになるのです。ゲーム感覚で続けられるので楽しみながらトレーニング出来ますね。
クイズの正解率が高くなったら次の段階にいきましょう。「ドレミファソラシド」をピアノで弾き、その後ひとつずつ音を弾きながら声も出します。耳の情報と自分の発声が同時に処理されることで体が音程と音階を覚えることができるのです。トレーニングを続ければ音感を持つことも夢ではありません。頑張って鍛え上げましょう。
絶対音感を鍛えることができていない人は、ピアノを弾くことに向いていないのでしょうか。結論を言えば、絶対音感が無くても問題はありません。趣味程度であればなくても問題はなく、プロを目指している方も絶対音感を持っていた方が多少は有利、くらいの認識だそうです。
絶対音感の中にも音感レベルというものがあります。レベルによっては今からでも取得が可能です。
このレベルは楽音に限定されていますが、絶対音感は生活音や自然の音でさえも識別することが可能です。プロで有利になる絶対音域のレベルは5以上と言われています。しかし作曲家の中には絶対音感を持たないと宣言している方もいるため、必ずしもいるとは限りません。ピアノを始めるのに絶対音感はそれほど必要ないのです。
音感を鍛えるためにはピアノでのトレーニングがオススメであると紹介しました。ですが、調律のあっていないピアノで練習してしまうとせっかくの練習も意味のないものになってしまう危険性があります。ピアノの調律が行われていないと、ピアノの音は少しずつ下がっていってしまいます。ピアノの音が低くなる原因は2つあります。
1つはピアノの弦です。ピアノの弦には20tもの力が加わっています。しばらくすると弦に緊張を解こうとする働きが生じ、弦が緩んでしまいます。これによって音が低くなってしまうのです。2つ目は温度と湿度の影響です。温度の変化は金属部分や源の拡張、収縮に影響します。湿度は機械の木製の部分に影響を及ぼします。温度と湿度が変化することにより音が狂ってしまうのです。
音のズレを直すためにも調律を定期的におこなうことをおすすめします。また、調律はピアノの故障を防いでくれることもあるのです。調律はピアノの健康診断のようなものです。ピアノの弦は切れていないか、どこか虫食いされていないかなどを確認することで、ピアノの故障を防ぐことができるのです。
正しい音を聞くことが、音感を鍛えることに繋がります。正しい音が出るピアノの状態を保ち、音感のトレーニングに役立てましょう。
「相対音感」と「絶対音感」、そして絶対音感の中にもレベルがあるように、音感はいくつかに分けられます。自分が鍛えたい音感はどのようなものなのか、そして音感を鍛えるためにはどのようなトレーニングが必要なのかをしっかり分析しましょう。継続は力なりです。今回ご紹介したトレーニング方法を試していただき、音感を鍛えていただけると嬉しいです。
ご家庭にピアノをお持ちの方はぜひ音感のトレーニングに活用してください。正しい音の出るピアノを使えば、正しい音感を得ることができます。ピアノを何年も使用していないのならば一度調律してもらい、音を直してもらってからトレーニングをおこないましょう。