コラム
電子ピアノは、従来のグランドピアノのように定期的なメンテナンスや調律をしなくても使うことができるのが大きな魅力ですよね。また電気製品のため、種類によってはボタン一つでピアノの音を別の楽器の音色に変えたり、自分の演奏を録音したりすることもできます。
しかし機械によるものだからこそ、グランドピアノとはまた異なった不具合が生じることもあります。
当コラムでは、そんな電子ピアノを使う上でよくある「音が出ない」原因についての対処法をお伝えします。
他にも、上記以外の不具合の対処法や、修理するための手順についても解説します。
電子ピアノを長く使い続けるために、不具合にもうまく対処していきましょう。
これからピアノの練習をしようと電源を入れたのにもかかわらず、音が出なかったら意味がないですよね。音が出ない原因はいろいろなところにあります。ご自身のピアノに当てはまる症状はないか、チェックしてみてください。
マスターボリュームとは、電子ピアノの音量を調節する機能のことです。電子ピアノであれば必ず存在する機能で、つまみを上下や縦横に動かすことで音量を調節できるものです。
使い慣れていない人であれば、このマスターボリュームが下がっていることに気づかないこともあるかもしれません。
適切な音量になるまで、ご自身で調節する必要があります。
電子ピアノに接続したヘッドフォンを抜き取る際、ヘッドフォン端子の一部が電子ピアノ本体に残ったままになっていることがあります。これは、ヘッドフォンの端子が外筒と内筒の2重構造になっている場合、外筒だけが電子ピアノ本体につながれたままになっているといった状況です。
また、ヘッドフォンが差し込まれたままだとヘッドフォン越しにしか音が聞こえなくなってしまうため、ヘッドフォンがすべて外されているかも確認してみましょう。
電子ピアノに電源を入れたのが久しぶりであれば、電子ピアノ内部の電気の通りが悪くなっている可能性が考えられます。
そんなときは、電源を長時間入れっぱなしにし、電子ピアノ内部に電気を行き渡らせてみましょう。そうすると、元通りに音が出るようになります。
機械でできたものすべてに言えることですが、長時間使わずに放置していると電気の通りが悪くなったり、傷んでしまっていたりすることがあります。そのため、電子ピアノは弾かないときでもたまに電源だけ入れておくと、次に使うときにスムーズに弾くことができるでしょう。
前述の音が出ない原因に当てはまらない場合は、一度「初期設定」に戻してみるのをおすすめします。
一度すべての情報をクリアにすることで、不具合が解消することはよくあるものです。
設定方法は電子ピアノによって異なるため、お使いの電子ピアノの取扱説明書をよく読んでみてください。
ただし、初期化してしまうとこれまで録音したデータや設定内容が消去されてしまうので注意しましょう。
初期設定にしてみても音が出ない場合は、電子ピアノそのものが故障している可能性があります。
また、寿命が来たという場合もあります。電子ピアノの寿命は、使用状況や設置環境にもよりますがだいたい10年~15年と言われています。
もし、電子ピアノを使い始めて10年も経っていない場合は、電子ピアノ内部で不具合が起こっている可能性が高いため、修理をするのが一番よいでしょう。
電子ピアノを修理するための手順については、第3章でお伝えします。
電子ピアノには、音が出ないといった症状以外に、これから紹介するような症状もよく起こります。
電子ピアノの鍵盤を指で押したとき、鍵盤がスムーズに押せなかったり、押した鍵盤が下がったまま元に戻らなかったりして、動きが悪いと感じる場合があります。これは、久しぶりに電子ピアノを弾く場合によく起こります。
こういった状態になる理由は、鍵盤の内部にある潤滑剤がなくなってしまったか、もしくは、バネでできた鍵盤であればバネが劣化した可能性が考えられます。
いずれも故障したことになるため、修理する必要があります。また、10年~15年くらい使っている電子ピアノであれば、新しいものに買い替えるという選択も必要です。
電子ピアノの電源ボタンを押してもONに切り替わらない場合は、電源プラグがコンセントに確実に差し込まれているか確認しましょう。コンセントがしっかり差し込まれていないことは意外とよくあります。
また、電子ピアノによっては電池を入れて使用するものもあります。その場合は電池が正しく入っているか確認しましょう。
それでも電源が入らない場合は、故障してしまったか、寿命の可能性が高いです。
ここから電子ピアノを修理するための手順について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
電子ピアノに何らかの不具合が生じた場合は、今すぐ元通りになるよう直したい!と思いますよね。しかし、何も考えず修理に出してしまっては、あらゆる面で損してしまうかもしれません。これから紹介する内容をよく読み、手順を踏んで修理を行うようにしましょう。
電子ピアノはグランドピアノなどに比べるとコンパクトではありますが、非常に複雑な構造をした精密機械です。
機械分野に詳しい知識を持っている人であれば、工具や材料をそろえるだけで修理することはできるかもしれません。しかし、すべて自己責任のもと行うことになるので、ピアノの不具合が余計に悪化したり、分解したあと元に戻せなくなったりすることも考えられます。
やはり知識を持った人に修理を依頼するのがベストな方法であると言えます。
電子ピアノの保証期間が残っている場合は、故障していても無料で修理してくれることがあります。
電子ピアノの種類にもよりますが、保証期間は1年~5年がほとんどです。現在お使いの電子ピアノが保証期間内である可能性もあるため、しっかりと確認しましょう。
また、修理依頼をするときは必ず保証書が必要になりますので、保管してあるかどうかも確認が必要です。
保証期間外であった場合は、専門業者に修理依頼をしてみましょう。ピアノのプロに依頼してしまえば、確実に修理して元通りにしてもらえるというメリットがあります。
しかし、業者であればどこでもよいというわけではありません。必ず複数の業者から見積りをとることを重要視してください。
見積りを依頼することで、修理の詳細な内容や費用についてじっくり比較検討することができます。
また、ご自身が信頼できる業者を見つけることにもつながるでしょう。業者の中には修理内容が間違っている、対応の仕方がよくないといった場合もあるため、業者の対応にも注意してみましょう。
お客様の目線に立って、見積り内容について詳細まで伝えてくれる業者であれば優良であることが多いです。
電子ピアノは、従来のグランドピアノに比べて安価で手に入りやすい上、メンテナンスも必要ないため非常に便利なものです。
しかし、音が出なくなったり鍵盤の動きが鈍くなったり…といった問題は、電子ピアノを長年使っていく上で避けては通れないものです。
なるべく長い間、電子ピアノを使い続けていくためにも、不具合が起こった場合はプロの業者に修理依頼してみることをおすすめします。