コラム
電子ピアノの歴史は一般的なピアノとは違って浅いですが、電子機器の発達とともに、日々進化をしています。調律の必要もないので安定した音を出すことができますし、最近の電子ピアノはより一般的なピアノに近い音やキータッチになってきています。
同じようなものにキーボードがありますが、こちらはキータッチがバネによってできているので、どちらかというと安価に鍵盤を触りたい初心者や、力が弱い子供向けといえます。また、電子ピアノと比べて持ち運びしやすいので、アンプを取り付けてバンド演奏を楽しみたい人向けといえます。
電子ピアノは機械である以上、10年ほどで耐久年数が来てしまいます。楽器は長年愛用するものですから、できる限り修理して愛用したいものです。電子ピアノが故障してしまった場合、どのように修理をするのでしょうか?また、出費を抑えたい場合はどのような事をすればよいのでしょうか?
電子ピアノは一般的なピアノ(グランドピアノやオルガンピアノ)とは異なり、内部構造が電子的な制御によって音を制御しています。一般的なピアノは鍵盤を押すと、内部でハンマーが弦を叩き、ピアノの音響版が弦の音を増幅させて音色が鳴りますが、電子ピアノはそういった構造が一切なく、鍵盤を押した際に強弱や押した長さを機械が識別して録音された音が再生されるのです。
そのため、一般的なピアノとは異なった故障も考えられます。よくある故障は以下のものです。
電源が入らない場合、「電源部分の劣化」「ケーブル断線」が考えられます。そのため電源やケーブル部分の交換が必要になります。また、電池タイプの場合は「電池の向きが逆」「電池がない」可能性があるので確認してみましょう。
鍵盤の戻りが悪い、ガタガタする場合は「鍵盤自体の破損」「フェルトの劣化」が考えられます。電子ピアノも一般的なピアノと同じくフェルトが使用されています。交換すると押した時の感覚が復活します。鍵盤の破損が見られた場合、鍵盤の交換か、破損した部分を代用品で固めて修理を行います。
内部コンデンサが膨張したことによる「基盤の損傷」もしくは、「基盤の接点に不具合」があり、反応しなくなっている可能性があります。修理する場合は基盤に手を加える必要があるほか、状態によっては修復不可の場合があります。
故障したと感じた場合、まずは電子ピアノに付属している保証書の確認をしましょう。電子ピアノには大手メーカーのものには保証期間が付属していることが多いです。大抵は1年ですが、物によっては5年保証のものもあるので、あきらめずに確認しましょう。
もし保証期間内での故障であれば、無料で修理を行えることもあります。しかし保証期間内であっても、保証規定外のものは無料で修理をしてもらえない場合がありますので注意が必要です。
また、メーカー保証以外に販売店独自の保証が付属している場合もあります。この保証は、年数経過で修理費用保証上限額が下がるものや、出張修理の場合は別途費用がかかるものがあるので、確認したのちに利用しましょう。
電子ピアノの保証が切れていた場合に取れる修理方法は以下の2通りが考えられます。
自分で修理をする場合、一番のメリットは費用を抑えられることが挙げられます。ピアノ修理は数千円から数万円ほどかかってしまいますが、自分で修理を行えば工具と材料だけの出費で済みます。
また、内部がどのような構造になっているか知ることができるので、よりピアノに愛着が湧くかもしれません。
ただし、ピアノの構造は非常に複雑です。一般的なピアノと違い、弦やハンマーなどが基盤に置き換わっているのでコンパクトではありますが、基盤の構造が複雑であったり、ピアノの鍵盤が複数あったりと、素人では中々難しいかもしれません。
また、個人で分解する場合は完全に自己責任になるので、故障を悪化させてしまったり、元に戻せなくなってしまうと買い替える必要が出てきてしまいます。
業者に修理依頼を行った場合、手間をかけず、自力より確実に直してもらえることがメリットです。自分で修理をした場合、すぐに故障が再発する可能性も考えられますが、プロによる修理はそのような心配がありません。また、型番が比較的新しいものだと、新品のパーツに交換してもらえたりします。
自分で修理を行うより、費用が割高になってしまうのが難点です。また、プライバシー上他人が室内に入ってくることに良く思わない人もいるかもしれません。電子ピアノの構造上楽器を取り扱かっていないメーカーであっても参入しやすいので、様々なメーカーから販売されています。
そのため、様々な形状のものが市場に出ているので、大手の電子ピアノでないと修理ができない業者も多いようです。
個人で修理をする場合は費用を安く抑えることができます。しかし、上記にも記述しましたが、自己責任で行うようにしましょう。自力で行うのに自信がない場合は避けた方が無難です。鍵盤に不調があった場合は、自力で比較的簡単に直すことができます。電子ピアノを分解し、不調箇所の確認します。フェルトが劣化している場合は交換をしましょう。
鍵盤が破損している場合は、使用頻度の低い位置の同型の鍵盤と交換すると応急処置ができます。また、「造形補修剤」を使用してかけた部分の補修をすると直る場合があります。他の故障原因である場合はパーツなどの問題上、個人での修理は難しいです。ピアノ修理のプロにお任せしましょう。
自力での修理が困難な状況の場合は業者へ修理依頼をすることになりますが、必ず複数の業者から見積りをとるようにしましょう。複数の業者から見積りを行うと、見積り詳細の資料を掲示することにより、修理費用を下げる交渉として使用することも可能です。また、見積り詳細を知ることで、優良な業者を見分けやすくなります。
ごくわずかですが修理態度や修理内容がよろしくない業者がいることも事実です。しっかりと細部まで透明な見積書を出してくれる業者は良い業者であることが多いので、最低でも2社以上の業者から見積りを取るようにしましょう。
電子ピアノは従来のピアノと違い精密機器の楽器です。調整をしなくていいうえ安価で、ヘッドホンを接続すれば曲を弾いた時の音色が漏れないのでマンションや深夜などであっても気兼ねなく引けるのが魅力です。一方で耐久年数が短く故障しやすいです。そのため、耐久年数である10年を超えたあたりから不調がないか確認してみると良いでしょう。
また、定期的にホコリを取り除くなどのメンテナンスを行うことで故障しにくくなります。楽器は弾き手の思いを表現できる素晴らしい機器です。故障したと感じたら早めに修理をして、長年にわたって愛用していきましょう。