コラム
ピアノは鍵盤を弾けば音が出る、ということは広く知られていることです。ですが、なぜあんなに綺麗な音が出るのか、と聞かれると困ってしまう人も多いのではないでしょうか。それも仕方ありません、ピアノは美しい音色を出す為に色々な工夫が凝らされた内部の構造を持っているのです。 ピアノの鍵盤は直接音を出すための部分ではありません。鍵盤を操作すると、まずはピアノの内部でハンマーが動き、それが弦を叩くことでピアノ独特の張りのある音が出るようになっています。その弦はグランドピアノなどの巨大さからも分かるように、大きな場所を目一杯使って最大弦に張りを持たせられるよう設計されています。さらに、ピアノの弦の本数は大体一台に230本ほど使用されていて、これは88ある鍵盤と比べてかなり多い数です。ピアノの弦は一つの音に対して3本使用されることがほとんどで、これによって一つ一つの音がより厚くなり、耳に響く音質へとなるのです。ですから、ピアノ調律で業者の人が行っている作業は、単純に音階を合せているだけではなく、鍵盤一つの音に対して3本の弦のバランスを考えながら細かな調整を繰り返しているのです。また、弦から出た音がピアノの内部で響くことも外に伝わる音に影響するなど、ピアノの音は人の耳に届くまでにそんな複雑な道程を辿っているのです。