コラム
ピアノの調律にはただ音色を理想的なものにするだけでなく、ピアノの状態を把握し修理することも含まれています。ピアノは使っていてもいなくても、徐々に音が変わっていくものですが、主な理由は張られた弦がゆるんでしまうことです。きれいな音をだすため、強い力で張られている弦ですが、経年とともにゆるんでしまいます。それを調整してもらうことで以前のような音を取り戻すこともできます。しかし、それ以外にも大きな理由があります。それは害虫です。「ヒメマルカツオブシムシ」と言い、とくにピアノを利用していない期間が多いと、発生しやすくなります。この害虫は埃やフェルト類が好物で、まずピアノ内にたまった埃を食べるために発生し、そこでピアノの部品として使われているフェルト類を食べてしまいます。ピアノは構造上フェルトがなくなってしまうと、音の響きが止められなくなったり、常にペダルを踏んでいるような状態となり、満足な演奏ができなくなってしまいます。ピアノは演奏者と調律者が違う数少ない楽器です。調律の技術を持った調律師に定期的にメンテナンスしてもらうことで、長期間に渡りピアノの音色を保つこともできます。思い出の詰まったピアノであればあるほど、定期的なメンテナンスを怠らず、ピアノの音色を保ってあげましょう。